「日当たりが良い」の定義とは?
そもそも「日当たり」とは、何を根拠に良し悪しが決められているのでしょうか。一般的に言われる「日当たりの良さ」に明確な定義はなく、その基準は住宅や土地を提供する会社それぞれに委ねられています。ここでは、日当たりの良し悪しの指標にされることが多い言葉を紹介していきましょう。
日照時間
日当たりの良し悪しの指標になる言葉の1つに「日照時間」があります。気象学では「1日のうちにどれだけ太陽が照っているか」を示すものになりますが、住宅業界においては「1日の中で窓などに日光が当たっている時間」を示すものになります。
日射量
日射量は、太陽から地上に届く熱量のことを指しています。日当たりとは直接の関係はありませんが、太陽光発電などの計算指標として利用されます。
採光
採光とは、建物の中へ自然光を取り入れることを指しています。「十分な採光が得られるリビング」などの文言を見たことがある方もいるでしょう。しかし、採光の規定は曇りの日を基準としており、日当たりとは直接関係ないため採光だけで「日当たりが良い」と判断しないように注意する必要があります。
日影図
日影図は、建物が作る影を平面図に書き込んだ図で、日当たりを示す指標として用いられます。日影図から、周辺建物によって影になる位置と時間がわかります。工務店や建築事務所では、プランニングの際に提示されることもあるでしょう。
日当たりが良い住宅のメリット
日当たりが良い住宅には以下のようなメリットがあります。
・部屋が明るくなりやすい
・寒い季節も室内が暖かくなりやすい
・生体リズムが整いやすい
・洗濯物が乾きやすい
・湿気がこもりにくい
上記のようなメリットがあるため、家づくりの際は日当たりの良さを気にする方が多いのでしょう。一方で、夏は部屋が暑くなりやすい、家具や床が日焼けしやすい、土地の値段が高い傾向にある、といったデメリットもあります。
南向きの住宅は本当に日当たりが良い?
南向きの住宅は本当に日当たりが良いのでしょうか。
周辺環境にもよる
住宅の日当たりの良さは周辺環境によって違います。住宅の南側に道路があったとしても、向かい側に大きな建物が建ってしまったらその建物の日陰になってしまう可能性があります。また、住宅の北側に道路があったとしても、南側に公園や学校の校庭がある場合や、住宅敷地内に庭を設ければ日当たりは確保できます。
駐車スペースにより日当たりの良さを活かせない場合も
南向きの住宅は、車などの侵入口も当然南側にあります。そのため、駐車場を南側のスペースに設けるパターンが多いでしょう。すると、間口の狭い住宅では、最も日当たりの良い場所が建物に活かせず駐車スペースになってしまう場合もあります。南向きの住宅だからといっても周辺環境によっては、せっかくの日当たりを活用できない場合もあるのです。
方角別の日差しが入る時間帯とそれぞれのメリット&デメリット
ここでは、方角別に日差しが入る時間帯とそれぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。
南向き
南や南東側に玄関がある家や南向きの部屋は、どの季節も太陽の当たる時間が最も長くポカポカと暖かく過ごせるでしょう。南向きの住宅では、リビングやベランダを南側に作るのがおすすめです。夏場は部屋が暑くなりすぎる、壁紙や家具が日焼けをする、などのデメリットもあるので注意しましょう。
北向き
北向きの部屋は、日中に直射日光の当たる時間がありません。北向きの部屋・住宅は敬遠されがちですが、部屋の温度が上がり過ぎず、特に夏場は快適に過ごせるでしょう。また、住宅の南側は日が当たるため、裏庭を活用したい方におすすめです。
西向き
西向きの部屋は、午後~夕方にかけて日が当たります。西日がきつい印象もありますが、朝日はゆっくり起床したい方や、夜勤などで早朝~午前中に在宅してない方におすすめです。
東向き
東向きの部屋は、朝から午前中にかけてたっぷりと日が降り注ぎます。一方で暗くなるのが早いので、夕方や夏場の午後は比較的快適に過ごせるでしょう。朝から活動したい方や午後に外出する方におすすめです。
南向き住宅に適した間取り
南向きの住宅は人気がありますが、前述したように周辺環境により、日当たりを十分に確保できない場合もあります。このようなリスクを解消して日当たりを十分に確保できる、南向きの住宅に適したおすすめの間取りを紹介していきます。
リビングを南側に
南向きの住宅では、最も日当たりの良い南側にリビングを設けると良いでしょう。南向きのリビングは日中に明るく暖かな状態が保たれるため、家で過ごす時間が長いご年配の方や小さい子供がいる家庭におすすめです。また、リビングの南側にはデッキや洗濯物スペースを設けると良いでしょう。日当たりの良さを十分に活用できます。
寝室やキッチンは東側に
寝室やキッチンは、朝日が十分に当たる東側に設けるのがおすすめです。朝から太陽を浴びることで体内時計がリセットされて、気持ちよく目覚められるでしょう。また、東側の部屋は早い段階で日が当たらなくなるので、夏場の暑さが苦手な方などにも適しています。
午後に使わない部屋を西側に
西側の部屋は午後に西日が当たるので、夕方にかけて使わない部屋を西に設けると良いでしょう。一方で、午前中には落ち着いたやわらかい日差しが入り、勉強などがはかどる環境のため、子供部屋にも適しています。
パントリーや書斎は北側に
北側の部屋は直射日光が当たりにくく涼しい環境が保たれるため、食材を保管するパントリーや書斎を設けるのに適しています。また、日光によって変色しがちな本や衣類などを保管する場所としてもおすすめです。
道路側には目隠しや駐車場を
日当たりを確保しようと住宅の南側に窓を設けると、人目につきやすくなる場合があります。このようなリスクを解消するために、道路側には目隠しできる塀や格子や道路から距離を取れる駐車場を設けるのがおすすめです。
方角関係なく日の当たる間取りにするポイント
日当たりを気にして南道路の住宅を希望していても、予算やその他の条件に合った土地を手に入れるのは簡単ではありません。そこで以下では方角関係なく日の当たる間取りにするポイントを紹介していきます。
隣の家との距離感を考慮する
希望通りの方角の土地が見つからなかった場合、隣の家との距離感に考慮した間取りにしましょう。隣の家との距離が離れているほど、採光の効率が良くなります。
吹き抜けをつくる
住宅に吹き抜けをつくることで、部屋に対して設置できる窓の面積が増やすことができ、高い位置の窓からの採光を期待できます。高い位置の窓は隣の家や道路からの視線も気にならず、開放感あふれる明るい部屋になるでしょう。
リビングやベランダを2階につくる
日当たりが悪い土地であったとしても、2階の南側にリビングやベランダを設ければ、日中日当たりの良い環境で過ごすことができるでしょう。3階以上の住宅ではリビングが玄関から離れていると不便さを感じることもあるかもしれませんが、上層階のリビングは日当たりに加えて眺望も良くなります。
間仕切りを減らす
窓から入った光は、窓からの距離が延びるとともに部屋の中に届きにくくなります。床や天井は光を吸収し、間仕切りや扉は光を遮ってしまうため部屋の中が暗くなりがちです。間仕切りを減らして空間を最大限に利用した大部屋にすると、多くの面に窓を設けることができ、窓から入る光を有効に使えます。間仕切りを最小限にできるスキップフロアの利用もおすすめです。
階段状の家にする
上の階に行くほど小さくなる階段上の家にすることで、窓の数を増やしたり、隣の家との距離をおいた採光効率の良い窓を設けることができます。床面積が減るというデメリットもありますが、ルーフバルコニーを採用するなど、室外を利用することができるのもおすすめです。
日当たりの良い間取りの注文住宅はR+houseネットワークの工務店へ
日当たりの良さを意識した間取りの注文住宅は、部屋が明るく暖かく保つことができ、生体リズムが整いやすい、洗濯物が乾きやすいなどといったメリットがたくさんあります。しかし、住宅の周辺環境や駐車スペースなどを設けたことにより、南向き住宅のメリットを最大限に活かせない場合もあるのです。また、南向きの土地は人気があり価格が高くなりやすいというデメリットもあります。日当たりを重視した家づくりをする際は、メリット・デメリットや周辺環境を十分に理解した上で購入の検討をしましょう。日当たりの良さを意識した間取りの注文住宅はR+houseネットワークの工務店へぜひご相談ください。
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