住宅ローンの流れを解説!審査・契約に必要な書類や家づくりの基本について
住宅ローンの流れ、仕組みの理解は家づくりにとって非常に重要です。最終的な支払い総額が大きく変わるケースもあるため、正しい知識を身につけておきましょう。この記事では、住宅ローンを組む際の審査や、契約に必要な書類準備などの流れ、注意しておきたいポイントについて解説します。
住宅ローンの申し込み〜融資までの流れ
住宅ローンの手続きの流れ |
住宅の売買契約の流れ |
1.住宅ローンの種類を相談・決定する
2.仮審査に申し込む
3.仮審査に通過後、本審査に申し込む
4.本審査に通過後、住宅ローンを契約する
5.住宅ローンの融資が行われる |
1.購入する物件を決める
2.物件の購入を申し込む
3.不動産売買契約を結ぶ
4.残金決済と物件の引き渡しをする |
住宅ローンを契約するには、仮審査・本審査の2つの審査に通過する必要があります。購入する住宅探しや売買契約と、同時進行するのが一般的です。スムーズに手続きを進めるためには、住宅ローンと住宅の売買契約、両方の流れと手続きのタイミングを理解しておく必要があります。なお、注文住宅を購入する場合は、住宅ローンの手続き・契約における制約や仕組みが異なるため注意しましょう。注文住宅のケースについては、記事の後半で詳しく解説します。
1.住宅ローンの種類を相談・決定する
最初に、購入する住宅選びと並行して住宅ローンの情報収集を行い、借り入れをする金融機関を絞り込みます。住宅ローンは自分で探す以外に、住宅メーカーや不動産会社から紹介してもらう方法も。提携ローンは手続きの手間が省けたり、借り入れ金利の優遇を受けられたりする点がメリットです。住宅ローンにはさまざまな種類があり、適用金利や付帯可能な保証などが異なります。いくつかピックアップして比較・シミュレーションし、自分たちに合う住宅ローンを選ぶようにしましょう。
2.仮審査に申し込む
住宅ローンの種類が決まったら、仮審査(事前審査)の申請を行いましょう。住宅ローンは通常、仮審査と本審査の2段階で審査が実施されます。仮審査は、購入したい物件の決定後、物件の購入申し込みの段階で行うのが一般的です。申請の際は、運転免許証など必要書類をそろえて手続きを行います。仮審査は、住宅ローンの契約ができるかどうか見込みを立てるための簡易的な審査です。審査結果は、おおよそ3日〜1週間程度で通知されます。
【住宅ローンの仮審査でチェックされること】
・返済能力(本人の年収、ほかにローンを抱えていないかなど)・返済プラン(現実的な借り入れ希望金額になっているか、返済期間は適切かなど)・必要書類に不備がないか(身分証明書、収入証明書、物件資料など)
3.仮審査に通過後、本審査に申し込む
仮審査に通過したら、住宅の売買契約を行い、本審査の手続きに進みます。仮審査よりも詳細なチェックが行われるため、審査期間も長くなる傾向に。一般的には手続き完了までに1〜2週間程度必要です。また、仮審査時よりもさらに多くの書類を用意しなければいけません。金融機関によって異なりますが、土地売買の契約書や登記簿謄本、工事請負契約書など購入予定物件の詳細情報を記した書類を求められます。また、団体信用生命保険の加入時は、健康状態の申告が必要です。
【住宅ローンの本審査でチェックされること】
・契約者の返済能力(完済時の年齢、年収などの勤務情報、返済負担率など)・契約者の家族に関する情報(住民票による同居家族の確認など)・担保となる対象物件の価値
4.本審査に通過後、住宅ローンを契約する
本審査に通過したら、物件引き渡しの2〜1週間前を目安に、金融機関と「金銭消費貸借契約」を結びます。これがいわゆる住宅ローンの契約です。契約時は主に書類記入と捺印を行い、所要時間は1〜2時間ほどですが、金融機関の窓口で平日に手続きをする必要があります。また、借り入れ金額に応じた印紙税の支払いや融資手数料などの支払いも必要です。金融機関の抵当権設定契約や、保証会社の委託契約を結ぶ場合などもあわせて行います。
5.住宅ローンの融資が行われる
住宅ローンの契約手続き完了後、指定した口座にお金が振り込まれます(融資実行)。同時に物件の引き渡しも実施。融資金は、物件購入にかかった残代金として不動産会社などへの支払いに充てられます。また、融資実行と同じタイミングで、所有権と抵当権の登記が行われます。これらの登記手続きは、金融機関が指定する司法書士が行い、物件の購入者は必要書類に署名・捺印を行うだけです。すべての手続きが完了すれば入居できます。
【参考】所有権の登記とは
所有権登記は、不動産の権利関係を証明するために必要な手続きです。新築の場合「所有権の保存登記」、中古物件や土地購入の場合は「所有権移転登記」が必要。不動産を購入した際は、土地と建物を別々に登記が必要です。
【参考】抵当権の登記とは
抵当権とは、債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合に、購入した不動産を担保に債権者が弁済を受けられる権利です。債権者となる金融機関は、不動産に抵当権を設定して貸し倒れのリスクを防ぎます。債務者が住宅ローンを完済した際には、抵当権抹消登記の実施が必要です。
【タイミング別】住宅ローンの審査・契約に必要な書類・費用
住宅ローンの審査・契約を進める際には、「仮審査」「本審査」「契約」それぞれのタイミングで必要な書類を用意する必要があります。また、契約時は各種手数料の支払いが必要です。利用する住宅ローン・金融機関によっては、必要な書類やかかる費用が異なる場合があります。詳しい内容は金融機関に問い合わせ、確認しておきましょう。
【住宅ローンの仮審査】必要な書類・費用
必要な書類 |
具体例・備考 |
本人確認書類 |
運転免許証、健康保険証、パスポート、在留カード(外国籍の場合)など |
収入に関わる書類 |
源泉徴収票、確定申告書の写しなど |
物件に関わる書類 |
物件のパンフレット・チラシ、間取り図など |
仮審査時は、本人確認書類、収入に関する書類、物件資料が必要です。ほかに借り入れているローンがある場合は、契約内容などがわかる書類を求められる場合があります。基本書類以外に提出必須のものがないか、金融機関へ確認しながら手続きを進めましょう。
なお、仮審査の時点では基本的に手数料はかかりません。
【住宅ローンの本審査】必要な書類・費用
必要な書類 |
具体例・備考 |
本人確認書類 |
運転免許証、住民票、印鑑証明書など |
収入に関わる書類 |
源泉徴収票、確定申告書の写し、住民税決定通知書、納税証明書など |
物件に関わる書類 |
不動産売買契約書、工事請負契約書など |
本審査時には、運転免許証など身分証明書のほかに、住民票(世帯全員の続柄の記載があるもの)や印鑑証明書が必要です。収入に関する書類も、住民税の決定通知書などの納税証明書、法人の場合は決算報告書などの提出を求められます。物件資料は物件の種類によって異なりますが、不動産売買契約書、工事請負契約書の写しや登記事項証明書などの提出が必要です。本審査時も、基本的に手数料はかかりません。
【住宅ローンの契約】必要な書類・費用
必要な書類 |
具体例・備考 |
本人確認書類 |
運転免許証、印鑑登録証明書、住民票の写しなど |
融資の入金口座確認書類 |
入金口座の通帳、入出金履歴など口座内容がわかるもの |
必要な費用 |
費用の目安 |
備考 |
印紙税 |
2,000円〜60,000円 |
借り入れ金額に応じた額面で用意。 |
融資手数料 |
借り入れ金額の2.2%ほど |
決められた額を支払う定額型もあり。 |
ローン保証料 |
借り入れ金額の0〜2%ほど |
金融機関によって不要の場合もあり。 |
登記費用 |
登記の種類による |
主に登録免許税と司法書士の報酬。 |
契約時には必要書類に加え、各種手数料を用意する必要があります。まず、借り入れ金額に応じた印紙税の支払いが必要です。たとえば、1,001万円以上5,000万円以下の場合は20,000円かかります。
融資手数料には定率型と定額型があり、定額型の場合は一般的に30,000円〜50,000円ほどです。保証会社に保証人となってもらうためのローン保証料は、融資を受ける際に一括で支払う方法と、金利に上乗せして支払う方法があります。
登記費用は、主に登記にかかる税金である登録免許税と、手続きを依頼する司法書士への報酬です。登録免許税は、新築の場合200,000円程度かかります。一方、司法書士への報酬は一律ではありませんが、相場としては50,000〜100,000円ほどです。
【注文住宅】住宅ローンを契約する流れ
注文住宅を購入する際の住宅ローンには、主に3つのパターンがあり、必要な手続きや支払いのタイミングが異なります。
また、注文住宅の場合、着工前の手付金の支払いが必要です。しかし、融資実行日は原則物件引き渡し後になるため、手付金や着工金は自己資金で用意しなければいけません。もし用意が難しい場合は、「分割融資」や「つなぎ融資」を利用する方法があります。
【パターン1】物件のみ購入し住宅ローンを組むケース
すでに土地を所有している、もしくは自己資金で土地を購入できる場合に、物件の建築費のみを住宅ローンで支払うケースです。
住宅ローンの本審査を通過後、工務店やハウスメーカーに頭金として工事の手付金を支払い、「工事請負契約」を結びます。その後も、着工・上棟・引き渡しなどのタイミングで代金の支払いが必要です。
住宅ローンの契約を終え、物件引き渡しとなったタイミングで融資が開始。したがって、融資開始前までの費用はすべて自己資金やつなぎ融資などでまかなう必要があります。
【パターン2】土地と物件両方で住宅ローンを組むケース
土地と物件両方の購入代金を一本化して住宅ローンを組むケースです。この場合も、土地の手付金から工事の上棟までの代金は、融資実行前の自己資金でまかなう必要があります。
このケースでは、住宅ローンの本審査通過後、まず土地の手付金を支払い土地売買契約を締結。土地の残金支払いと土地の引き渡しが終わった後、工事の手付金を支払い工務店などと工事請負契約を結びます。以降はパターン1と同じ流れです。
住宅ローンの支払いが一本化されるため、手続きや返済がシンプルになるのに加えて、土地と物件で別々にローン組みするよりも手数料などの諸費用を安く抑えられます。
【パターン3】物件の建築費より前に土地の住宅ローンを組むケース
土地と物件両方の住宅ローンを組む場合、先に土地の代金から融資を受けられる「土地先行融資」も可能です。
まず、土地購入の住宅ローン審査・契約手続きを行い、本審査・契約後に土地の手付金を支払って土地の売買契約を結びます。土地代金の融資開始後、土地の残金を支払い土地の引き渡しへ。以降、物件の工事請負契約、建築費の融資実行については、パターン1の流れと同じです。
このケースでは、パターン2と比べて自己資金やつなぎ融資などで支払う代金が減りますが、2回の住宅ローン手続きが発生する点に注意が必要です。また、建築工事に関する費用は、やはり自己資金やつなぎ融資でまかなう必要があります。
【参考】つなぎ融資と分割融資
つなぎ融資とは:住宅完成までの手付金や着工金などへの支払いに利用する融資
分割融資とは:住宅ローンの総額を複数回に分けて受け取れる融資
つなぎ融資とは、住宅ローンの融資が始まる前に、必要な資金をまかなう目的で利用する融資です。たとえば、土地の残金の支払いや工事の着工金を、自己資金で支払うのが難しい場合に活用できます。
ただし、つなぎ融資の金利は一般的に約2〜3%と高いケースが多いです。住宅ローンの融資実行後も、つなぎ融資分を全額返済するまでその利息を支払わなければいけません。
分割融資とは、本来一括で振り込まれる住宅ローンの融資を、複数回に分けて受けられる方法です。つなぎ融資とは異なり、住宅ローンの金利で利用できるため、負担額を抑えられる場合があります。ただし、対応している金融機関が限られている点や、融資実行時の手数料など諸費用が比較的割高になる点に注意が必要です。
住宅ローンを賢く契約するための3つのポイント
住宅ローンを選ぶ際にはどのような点に気をつける必要があるでしょうか。ここでは、住宅ローンを賢く契約するための3つのポイントについて解説します。
住宅見学の前に住宅ローンの知識を身につける
家探しや家づくりを考える前に、「住宅ローンについての正しい知識を身につけること」が重要です。
通常、購入する家の決定後に住宅ローンの仮審査を行うため、「家づくり=理想の家を探す・つくる」と考えてしまいがち。しかし、家づくりから考えてしまうと、現実味のある予算・返済計画を立てにくくなります。
住宅ローンの知識を持っているのといないのとでは、総支払額が何百万円も変わってくる場合も。家づくりの基本として、住宅ローンの知識をしっかり身につけておきましょう。
借り入れ金額や返済期間のシミュレーションをする
住宅ローンの借り入れ先である金融機関は、都市銀行や地方銀行、ネット銀行などさまざまです。銀行の住宅ローン以外にも、公的融資やフラット35などで融資を受けられる場合もあります。それぞれをよく比較して、借り入れ金額や返済プランのシミュレーションを行いましょう。
とくに、「固定金利」「変動金利」「3年固定・5年固定」など金利パターンの選択は重要です。ほかにも、借り入れ可能な融資総額、返済期間・返済方法の設定、手数料・諸費用の試算など、住宅ローンを契約する際に必要な確認・検討事項は多岐に渡ります。
【住宅ローンのシミュレーション】
ローン1:借り入れ総額4,000万円・返済期間35年・借り入れ金利0.5%の場合
ローン2:借り入れ総額4,000万円・返済期間35年・借り入れ金利1.5%の場合
※動画より引用
※動画より引用
ローン1とローン2は、借り入れ総額、返済期間といった条件はまったく同じで借り入れ金利が1%違うだけですが、総返済額は782万円もの差があります。シミュレーションによるさまざまな住宅ローンの比較を行い、不動産会社の担当者にも相談しながらよく吟味して選ぶようにしましょう。
現実的で無理のない予算・返済計画を立てる
住宅ローンを契約する際は、現実的な予算設定と適切な返済計画が大事です。住宅ローンは数十年単位の長い契約になるので、将来かかるお金も計算に入れて予算組みする必要があります。
返済期間や返済方法の設定など、無理のない返済計画も重要です。住宅ローンの返済方法は、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。毎月の返済額や利息割合が変わってくるため、自分に合った返済方法を選びましょう。
住宅ローンの流れや契約に関するよくある質問
マイホームの購入は大きいライフイベントなだけに、これから住宅ローンを組もうと考えている人は不安も多いでしょう。住宅ローンの流れや契約についてよくある質問をまとめましたので参考にしてみてください。
Q.そもそも住宅ローンの仕組みは?
A.住宅ローンとは、住宅購入費用を借り入れて、分割で返済するローンです。
住宅ローンは、住宅を購入するための費用をまかなうものです。物件を一括で購入する場合とは異なり、借り入れた金額に利子をつけて返済する必要があります。利息は借り入れ期間に応じて増えていくため、返済期間が長くなればそれだけ支払い総額も大きくなる仕組みです。
Q.住宅ローンの仮審査に通れば必ず本審査も通る?
A.書類不備や契約者の情報が仮審査時と異なる場合は、NGとなる可能性があります。
仮審査を通ったからといって、必ずしも本審査を通過できるとは限りません。たとえば、新たに他のカードローンを組んだり、ローンを滞納していたりすると本審査を通過できない可能性が。ほかにも、担保となる物件の評価が借り入れ希望額に対して低い場合も審査否決となる場合があります。
Q.住宅ローンで借りたお金はいつ・どこに振り込まれる?
A.通常、物件の引き渡し日に、契約者の指定口座に振り込まれます。
住宅ローンで借り入れたお金は、物件の引き渡し日に振り込まれるのが一般的です。通常は契約者の口座に直接振り込まれ、そのお金を不動産会社や住宅販売会社へ払い込みます。住宅販売会社の提携ローンによる契約などでは、住宅販売会社にそのまま振り込まれる場合もあります。
Q.住宅ローンの申し込みから契約までにかかる期間は?
A. 1カ月半程度を目安に考えておきましょう。
住宅ローンの審査期間は、仮審査スタートから融資実行まで1カ月半ほどかかるのが一般的です。契約する金融機関や保証会社の有無、申請方法、混み具合によっても異なるため、どのくらい時間がかかりそうか金融機関にあらかじめ問い合わせておくとよいでしょう。
家づくりは住宅ローンを知ることから
住宅ローンにはさまざまな種類があり、土地や物件を探す前の入念なシミュレーションが重要です。また、申請の内容によって手続きの流れや諸費用が発生するタイミングも異なるため、記事で紹介したポイントをしっかり押さえてローン組みを行いましょう。
R+houseは、家づくりから庭づくりまで総合的にご提案を行う住宅会社・工務店です。ご家族のライフスタイルに合わせて、快適に長く住んでいただくための高性能住宅をご提案します。
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