そもそもヌックとは?定義はある?
写真②指示棒を持ち解説するビジネスマン2.jpg 65.27 KB
ヌックとは、簡潔にいえば、家の中にある居心地の良い小さなスペースのこと。スコットランドで「暖かくて心地良い場所」を意味する「neuk(ヌーク)」が語源になっているといわれています。
ヌックに厳密な定義はありません。こもり感の強い半個室のような場合もあれば、オープンスペースとして設置されることもあり、設計の自由度が高いのが特徴です。一般的なヌックに共通している点としては、広すぎないスペースであることと、そのつくりで特別な空間を演出していることの2点が挙げられます。
コロナ禍を経て、家で過ごす時間が増えた昨今。広々としたLDKで家族と過ごすだけでなく「こぢんまりとしたスペースで、自分だけの時間も楽しめるようにしたい」と、ヌックのニーズが高まっているのです。
ヌックと小上がり・DENの違い
ヌックと似た住まいの空間に、小上がりやDEN(デン)があります。いずれも室内に設ける小さなスペースですが、ちょっとした違いがあります。それぞれの特徴をまとめました。
間取りの種類 |
特徴 |
ヌック |
・スペースがより狭い ・こもり感があることが多い |
小上がり |
・床の段差が高くなっている ・隣のスペースと繋がっている ・ヌックやDENより開放的で広い |
DEN |
・扉がありスペース自体が小さな部屋になっている ・独立性がある |
ヌックと小上がり、DENの特徴は共通している部分もあり、はっきりと区別するのは難しいところもあります。
ヌックは小上がりより小さく、DENと比べ独立性の低いスペースとイメージしておくと良いでしょう。
ヌックを取り入れるメリット
写真③メリットとチョークで書かれた黒板 .jpg 63.91 KB住まいにおしゃれな印象を与えてくれる、便利なスペース「ヌック」。ヌックの魅力はインテリア性の高さだけでありません。ここでは、ヌックを設けることで期待できるメリットを解説します。
家族と繋がりながら一人の時間を過ごせる
ヌックは、完全に独立したスペースではありません。そのため、家族の存在を感じながら一人の時間を満喫できます。家族と同じ空間にいながら、何か別のことに集中したいときに、程良い距離感を保ちながら活動できるプライベート空間といえるでしょう。
また、誰か専用の個室ではないため、家族それぞれが好きなときに使えるところもポイントです。
空間の有効活用ができる
ヌックを作るにあたり、必ずしも新しくスペースを設ける必要はありません。階段下や廊下の一角など、デッドスペースを活かして設計できるのが、ヌックの魅力です。家の中の空間を上手く利用することで、狭い土地に住宅を建てた場合にもヌックをつくることができます。
間取りにメリハリを出せる
広いリビングにアクセントを付けたいときにも、ヌックが役立つでしょう。例えば、小上がりやベンチタイプのヌックを設けると、空間に立体感を出せます。インテリアグッズに頼って立体感を出そうとすると、圧迫感のある印象になることもあるでしょう。ヌックなら、開放的な間取りのまま、空間にメリハリを付けられます。
加えて、個性的でおしゃれな雰囲気を演出できる点もヌックならでは。デザイン次第では、部屋が広く見える効果も期待できます。
目的に合わせてさまざまな使い方ができる
ヌックは、さまざまな目的で活用可能です。主な用途を以下にまとめました。
・リーディングヌック
・書斎ヌック
・リラックスヌック
・ベンチヌック
・キッズヌック
・ペットヌック
仕事や趣味など、落ちついて作業するスペースの他、秘密基地のような子どもも大人もワクワクできる空間も実現できます。家族や来客とのコミュニケーションスペースとして設計するのも良いでしょう。ペットの寝床や遊び場としても活躍します。
ヌックを取り入れるデメリット
写真④デメリットとチョークで書かれた黒板 .jpg 63.29 KBメリットが豊富なヌックですが、残念ながらデメリットもあります。ヌックを住まいに取り入れるかどうか判断するには、メリットとデメリットの両方を理解し、本当に必要かどうか見極めることが重要です。ここで、ヌックのデメリットをチェックしておきましょう。
費用が発生する
当然のことながら、ヌックを作るためには工事費や材料費といった費用が発生します。ベンチやデスクといった家具を設置するにも資金が必要です。
さらに、間仕切り壁を設けたり、小上がりにしたりした場合、より費用がかさむでしょう。また、居心地の良さを追求するためには、照明や採光窓、空調設備の設置なども検討する必要があります。家づくりを計画する段階で、理想のヌックにどのくらいの費用がかかるか、施工会社に相談しておくと良いでしょう。R+houseでは、本格的な建築計画の前に、資金にまつわる無料相談を行っています。
>>参考コラム:注文住宅の相場はどのくらい?費用の内訳や予算計画を立てる際のポイントも!
スペースが必要になる
こじんまりしたスペースではあるものの、ヌックを取り入れる分、部屋が狭くなる可能性があります。ヌックを設けることで、本来十分に確保取れるはずだった収納スペースが、圧迫されることもあるでしょう。
ヌックを設けた場合に収納が確保できるか、家全体の広さは十分かなど、計画的に設計する必要があります。一方で、ヌックに使えるデッドスペースがないか検討することも大切です。
生活音が気になる場合がある
LDKの一角など、家族の共有スペースにつくる場合も多いヌック。ヌックは完全な個室とは異なり、ドアがなくオープンな空間です。そのため、家族を身近に感じられる反面、生活音が気になり集中できない可能性も否定できません。
仕事や家庭学習などに使うスペースとしてヌックを設けるなら、リビングから距離をとった場所につくったほうが良いこともあるでしょう。
活用しづらくなる可能性がある
いざヌックを設けたのに、実際住んでみたらあまり活用できなかったという可能性もゼロではありません。家の中でアクセスしにくい場所にヌックを作った場合、足が向かず活用しなくなってしまうことも。また、照明やコンセント、空調設備などを設けなかった場合、心地良さに欠けることが、利用頻度の低下に繋がるでしょう。
さらに、ライフスタイルや家族構成の変化に伴い、徐々にヌックを使わなくなるパターンも考えられます。
ヌックをつくるときのポイント
写真⑤建築家の図面作成の様子 .jpg 95.74 KB続いて、ヌックを住まいに取り入れる際に押させておきたいポイントを解説します。ヌックは特殊な空間であるため、設計の工夫が欠かせません。「せっかくヌックをつくったのに使えなかった……」と残念なことにならないよう、事前にしっかり計画を立てましょう。
ヌックをつくる目的を明確にしておく
ヌックにはさまざまな活用方法があります。その分、使用する目的をはっきりさせずに作ってしまうと、上手く活用し切れない可能性も。何を楽しむスペースとしてつくるのか、どういった時間をヌックで過ごしたいのかを、はっきりさせておくことが大切です。具体的に使い方を考えることで、おのずと設置場所や必要な広さなどが見えてくるでしょう。
また、ライフスタイルの変化も考慮した、長期的な目線も重要です。例えば、キッズヌックとして作ったとしても、子どもの成長に合わせて、活用方法をどう変えるかなどを考えなくてはなりません。キッズスペースとして使っていたものを、学習スペースにチェンジ。さらに子どもの成長後は、ペットヌックや趣味用のスペースに変換するのも一つの方法です。その場合は、ヌックのインテリアを固定せず、用途に合わせて変えられるようにしておくと良いでしょう。
段差や素材で別の空間として認識させる
ヌックには扉がないため、別の空間だと認識させるための工夫を要します。ヌックの存在をぼやけさせない、ゆるやかかつメリハリのあるゾーニングが大切です。小上がりで床の段差をつくったり、壁紙の色や床材を変えたりすることが効果的です。閉鎖的になることなく、こもり感を演出できるでしょう。天井を周辺より低くし、入口にデザイン性を持たせるのもおすすめです。
居心地の良い広さにする
ヌックの広さにも注意が必要です。広すぎるスペースでは、ヌックならではの良さに繋がらないこともあるでしょう。2~3畳の小さなスペースを設けるのが目安です。2~3畳と聞くと、狭いと感じる方もいるでしょう。しかし、ヌックは一人または少人数で使うスペースのため、少しのスペースで十分機能します。秘密基地にこもりたくなるような、居心地の良い広さを考えることが大切です。
空気がこもらない工夫を取り入れる
ヌックの形状によっては、換気の問題が生じる可能性もあるため、空気がこもらない工夫も欠かせません。特にこもり感に重きをおいたヌックを設ける場合、湿気が溜まりやすくなることが考えられます。窓や換気扇を取り入れて、空気が循環できるよう対策しましょう。こもり感にこだわりがない場合は、初めからオープンなヌックを設計するのもありです。
照明や収納など設備を整える
居心地の良い空間にするためには、快適に過ごせる環境設備を整える必要があります。照明やコンセント、採光窓を設置するなど、利便性の高いスペースにしましょう。特に照明にこだわれば、ヌックがよりリラックスしやすい空間に仕上がります。間接照明やペンダントライトで、雰囲気づくりを楽しみましょう。また窓を付けた場合は、ヌック内が外気温の影響を受けやすくなるため、空調設備の設置を検討する必要があります。
さらに、ものが散らかる恐れがある場合は、先に収納を設けておくこともポイントです。
形状や安全性に配慮する
段差のあるヌックは、スペースとしてのアクセントになるものの、小さな子どもがいる世帯や老後の暮らしには、配慮を要します。バリアフリーを考慮するなら、浅めのベンチ型にしたり、手すりを設置したりといった工夫を取り入れるのがおすすめです。長い目で見て活用しやすい設計を意識しましょう。
ヌックを作るのに向いているスペース5選
写真⑥横から顔を出し説明する笑顔でスーツを着た若い男女-min .jpg 72.21 KBここからは、ヌックをつくるのに向いているスペースを54つ紹介します。ヌックの使い方にも影響を与え得る設置場所。マイホームにヌックをつくるなら、どこでどのように使うかイメージしてみましょう。
階段下
階段下のデッドスペースを活用したヌックなら、リビングなど他の部屋の広さを確保しながら取り入れられます。階段下は、本来暗くなりやすく、部屋をつくるには不向きなスペース。
しかし、ヌックなら逆にそのスペースと特徴を有効利用できます。隠れ家のような空間にするのはもちろん、デスクなど必要なものを設置すれば、ワークスペースとしても十分機能します。階段下は周囲から見えにくい場所にあたるため、趣味を楽しむ部屋としても活躍するでしょう。
>>参考コラム:注文住宅にワークスペースは必要?メリット・デメリットと間取りの事例をご紹介
廊下
廊下にヌックをつくれば、本来通り過ぎるだけだけのデッドスペースを有効に活用できます。
家族みんなの通り道にあるため、ふとしたときに利用したり、コミュニケーションを取ったりと、活用しやすいヌックになるでしょう。ちょっとしたベンチや本棚を置くだけでも、休憩スペースのように使えます。長いデスクを設置すれば、一人でゆったりくつろげるだけでなく、家族が並んで過ごすスペースとしても活用可能です。
リビングに吹き抜けを設け、2階の廊下にヌックをつくるのも良いでしょう。1階リビングのアットホームな雰囲気を感じつつ、より集中した時間を過ごせるヌックになります。
窓辺
日当たりの良い窓辺に設けたヌックでは、晴れた日には暖かみを、雨の日には落ち着いた雰囲気を感じながら、リラックスした時間を過ごせるでしょう。窓の枠に合わせたヌックをつくれば、ベンチのように窓辺に腰かけて、景色や読書など思い思いの時間を楽しめる、ハイセンスな空間になります。天気や季節の移ろいを感じながら、ゆったりとしたひと時を満喫できるヌックになるでしょう。
LDK
LDKの一角につくったヌックは、家族の存在と一人の時間を上手く共有できるスペースになります。
一人で過ごすだけでなく、家族との団らんなどにも活用でき、使い方に幅を持たせられるのが特徴です。例えば、LDK横のヌックで子どもが遊ぶ場合、親から少し離れることで、集中して物事に打ち込めるでしょう。親としても、子どもに干渉しすぎることなく近くで様子を見守れます。また、ヌックにおもちゃを収納できるようにしておけば、リビングの散らかり防止にもなるでしょう。
加えて、小上がりやベンチを設けたり、壁紙を変えたりといった工夫を取り入れたヌックは、LDKにアクセントをもたらし、洗練された雰囲気を演出できます。
>>参考コラム:リビングをおしゃれにするには?施工事例や空間づくりのアイデアを紹介
子ども部屋
R+houseが手掛けるヌックの施工事例7選を紹介
最後に、R+houseが手掛けるヌックのある注文住宅の施工事例を紹介します。デザイン性や機能性にこだわった7つのヌックをチェックしていきましょう。
デザイン性の高い秘密基地のようなヌックがある住まい
写真⑦LDKの一角にある秘密基地のようなヌック.jpg 239.04 KB16畳のLDKの一角に秘密基地のようなヌックを設けた住まいです。ダイニングテーブル横の壁面を利用することで、家族の存在を感じながら、ゆったりとした一人の時間を過ごせます。
床の高さを上げたり、入口の天井を低く三角屋根を模した形にしたりと、デザイン性にこだわることで、ヌックが住まい全体のアクセントになっています。>>施工事例:岐阜県下呂市「丘の上のランドマークな家」
階段下がアーチ型のキッズヌックになった住まい
写真⑧階段下のアーチ型のキッズヌック.jpg 191.42 KB木のぬくもりを感じられるナチュラルテイストの部屋に馴染むヌックを、階段下に設置しました。
入口をアーチ型にすることで、暖かみのあるやさしい雰囲気を演出しています。親子で遊びを共有できるスペースとしてヌックをつくっていますが、内装をあえてシンプルにすることで、ライフステージに合わせてフレキシブルに利用できるでしょう。リビングのすぐ横に位置しているため、子どもの様子を見守りながら、別々の時間を過ごすのにも役立ちます。
>>施工事例:神奈川県茅ヶ崎市「庭のある暮らし 草花に囲まれた田園の家」
リビングに繋がるヌックのある住まい
写真⑨リビング横のデスクを設置したヌック.jpg 144.44 KBリビング横にデスクを設置したヌックのある間取りです。リビングに背を向ける形でヌックを配置していることや、間仕切りの壁があることで、ゆったり過ごせるだけでなく、仕事や趣味などに集中したいときにも活用できます。
また、自然光を取り込めるように両サイドの壁には窓を設置。閉鎖的になりすぎない工夫がされています。壁紙の色をあえて周囲と同じにしたり、家具の雰囲気をダイニングと合わせたりと、ゆるやかなゾーニングにすることで、LDKと統一感のあるヌックに仕上がりました。
>>施工事例:和歌山県有田市「ダイナミックな勾配天井の平屋」
こもり感のある畳のヌックが特徴の住まい
写真⑩こもり感のある畳のヌック.jpg 153.5 KB床材やキッチン収納、家具など、木の暖かみを感じられる住まいに取り入れたヌックです。
小上がりにした床部分を畳にすることで、部屋全体の雰囲気を壊すことなく、空間にメリハリをもたらしています。入口天井を低くして、こもり感を演出。一方で、中に入れば大きな窓を介して、爽快な抜け感を得られます。すっきりとした空間を維持できるよう、あらかじめ収納スペースを付けたのもポイント。一人で過ごすだけでなく、家族がゆったりとした時間を共有できる空間です。
>>施工事例:愛知県西尾市「家族が集い、個々でも楽しめる開放的な平屋」
階段下にリーディングヌックを設けた住まい
写真⑪階段下のリーディングヌック.jpg 136.46 KB階段下にリーディングヌックを設けた住まいです。床を一段高くすることで、リビングとゆるやかにゾーニング。
ヌックの中には本棚を設置している他、高くした床部分で収納スペースも確保しています。周囲の壁紙が白色であるのに対し、ヌックの壁面には落ち着いたグレーをチョイス。キッチンと雰囲気を合わせることで統一感を持たせつつ、ヌックが部屋全体のアクセントになっています。階段の傾斜をそのまま活かしたシャープな形が、洗練された雰囲気の住まいにマッチしたヌックです。
>>施工事例:山形県酒田市「『KURA』のある家」
畳スペースから繋がる秘密の書斎ヌックが個性的な住まい
写真⑫畳スペースから繋がる秘密の書斎ヌック.jpg 200.79 KBLDK横の畳スペースから繋がる空間に、こもり感あふれる書斎ヌックを設けました。茶室のにじり口をイメージした、アーチ型のコンパクトな入口が特徴です。和モダンな家全体の雰囲気ともよくマッチしています。
ふすまを閉めれば書斎があることを隠せるため、まさに秘密基地のような遊び心のあるデザインがユニークなヌックです。デザインガラスを用いた窓や間接照明など、内部のインテリアにもこだわりが満載。どこかレトロで、落ち着きのあるおしゃれな空間になっています。
>>施工事例:愛知県名古屋市「スカイガーデンのある 光があふれる家」
LDKと繋がる窓ヌックがポイントの住まい
写真⑬玄関から入ってすぐ横の窓際にあるヌック.jpg 231.41 KB玄関から入ってすぐ横の窓際に、ヌックを設置。テーブルとベンチを配置することで、読書や休憩といった一人時間の他、家族や来客との会話も楽しめるスペースになっています。キッチンやダイニングとは、空間を共にしながらもある程度距離があるため、生活音を気にせず過ごしやすいでしょう。
木製の家具で家全体のナチュラルな雰囲気とマッチさせつつ、カーテンや照明で遊び心をプラスするなど、インテリアにもこだわったヌックです。>>施工事例:徳島県徳島市「便利な回遊動線と憧れの土間キッチン」
ヌックのある快適な住まいを建てるならR+houseネットワークの工務店へ
ヌックは、自分や家族の時間を大切にできる快適なスペースです。メリットとデメリットから必要性を見極め、計画的に取り入れましょう。R+houseネットワークの工務店なら、建築家とタッグを組むことで、おしゃれで機能的なヌックのある住まいを設計可能です。中間業者をなくした資材調達で、材料費を大幅にカットできるため、ヌックのコスト面にも配慮した家づくりができます。
また、R+houseが手掛ける注文住宅は、断熱性・気密性・耐震性の高さが自慢です。オリジナルの「R+houseパネル」を用いることで、ZEH基準を大幅に上回る断熱性と耐震等級2以上の住まいを実現できます。機能的なヌックのある高性能住宅を建てたいとお考えの方は、是非お近くのR+houseネットワークの工務店にお声がけください。
>>ヌックのあるマイホームで叶える心地よい暮らし!R+houseのデザインについてはこちら