注文住宅における性能の種類とは?
注文住宅には、快適な暮らしを支えるための性能がいくつかあります。今回はその中から断熱性、気密性、そして耐震性について解説します。
住宅内外への熱の移動を遮断する「断熱性」
断熱性とは、家の内外への熱の移動を少なくする性能です。熱は通常、床や壁、窓や屋根などを介して温度の低い方へと移動します。この移動をできるだけ減らすことで、冷暖房の働きが効率的になり、省エネにもつながるのです。
参考元:資源エネルギー庁「住宅による省エネ」
住宅の断熱性能を表すUA値とは?
住宅の断熱性能はUA(ユーエー)値=外皮平均熱貫流率で示されます。UA値は、住宅の屋根や壁、床や窓といった外皮を伝わり、室内の熱が外へどのくらい流出しやすいかを表した数値です。UA値が小さい程、熱を逃がしにくいため、断熱性能が高いといえます。
UA値基準と地域区分
ZEH基準とHEAT20基準における地域区分ごとのUA値
ZEH基準とHEAT20基準における地域区分ごとのUA値
また、目指すUA値は地域だけでなく、どの基準にそって住宅を建築するかによっても異なります。ここでは、高断熱性と省エネ設備を備え年間の一次エネルギー消費量をゼロにすることを目指した「ZEH(ゼッチ)基準」と一般社団法人であるHEAT20が提案する基準(G1~G3)における各地域区分のUA値についてもチェックしておきましょう。
【UA値(W/㎡K)】
地域区分 |
1地域 |
2地域 |
3地域 |
4地域 |
5地域 |
6地域 |
7地域 |
8地域 |
都市例 |
夕張 |
札幌 |
盛岡 |
長野 |
宇都宮 |
東京23区 |
鹿児島 |
沖縄 |
ZEH基準 |
0.40 |
0.40 |
0.50 |
0.60 |
0.60 |
0.60 |
0.60 |
― |
HEAT20 G1 |
0.34 |
0.34 |
0.38 |
0.46 |
0.48 |
0.56 |
0.56 |
― |
HEAT20 G2 |
0.28 |
0.28 |
0.28 |
0.34 |
0.34 |
0.46 |
0.46 |
― |
HEAT20 G3 |
0.20 |
0.20 |
0.20 |
0.23 |
0.23 |
0.26 |
0.26 |
― |
参考元:資源エネルギー庁「ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>」P3
参考元:国土交通省「【参考】ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の定義」※3枚目
参考元:一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会「HEAT20 外皮性能水準」
空気の通り道となる隙間を減らす「気密性」
気密性とは、住宅の隙間を少なくして室内外への空気の移動を減らす性能です。住宅に隙間があると、それが空気の出入り口となり熱の移動につながります。気密性が高いほど外気の影響を受けにくく室内温度を一定に保てるため、快適な暮らしに欠かせない性能の一つです。
参考元:資源エネルギー庁「住宅による省エネ」
気密性と断熱性の関係性とは?
気密性は、断熱性と深い関わりがあります。なぜなら、せっかく断熱性を高めても住宅に隙間があれば、それが空気すなわち熱の通り道となり室温を一定に保ちにくくなるからです。気密性と断熱性、どちらかが欠ければ住宅性能は激減してしまうでしょう。高断熱高気密の住宅を目指すことで、快適な空間に近づけます。
地震による住宅の損傷や倒壊をできるだけ防ぐ「耐震性」
地震が起きやすい日本においては、耐震性も需要な住宅性能です。耐震性が高い住宅は大きな地震の際にも耐久性が高く、損傷や倒壊といった被害を最小限に食い止められるでしょう。
耐震性の高さは、国土交通省が定める3つの「耐震等級」によって示されており、耐震等級が高いほど地震に強いといえます。
耐震等級 |
構造躯体の倒壊等防止 |
構造躯体の損傷防止 |
1 |
震度6強~7の地震により倒壊・崩壊しない程度 |
震度5強の地震により損傷しない程度 |
2 |
震度6強~7の1.25倍の力がかかる地震により倒壊・崩壊しない程度 |
震度5強の1.25倍の力がかかる地震により損傷しない程度 |
3 |
震度6強~7の1.5倍の力がかかる地震により倒壊・崩壊しない程度 |
震度5強の1.5倍の力がかかる地震により損傷しない程度 |
建築基準法では耐震基準が設定されています。住宅を建てる際には「耐震等級1」にかなう耐震基準を満たさなければなりません。また、長期優良住宅を目指すなら「耐震等級2」の条件をクリアする必要があります。
参考元:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度 住宅性能表示制度ガイド」P6-7参考元:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「地震などに対する強さ(構造の安定)」
なぜ注文住宅の性能は大切なのか?
ここまで、住宅の主な性能について見てきました。ここからは、注文住宅を建てるうえでなぜ性能を重視した方が良いのか、具体的なメリットについて見ていきましょう。
一年中快適な室温をキープしやすい
高断熱高気密の性能を備えた住宅では、室内外への熱の移動を防げるため、外気の温度による影響を受けにくいメリットがあります。室内の温度を一定に保てるため、夏は暑さ、冬は寒さを感じづらく、一年を通して快適に過ごせます。
冷暖房費の節約につながる
前項と同様に、高断熱高気密の住宅は部屋の温度が大きく上昇したり低下したりすることが少ないため、冷暖房の使用も最小限に抑えられます。省エネが実現し、光熱費の削減につながるでしょう。
ヒートショックなどの健康被害の予防になる
地震や災害に強いから安心できる
地震の被害を受けるリスクが高い日本ですが、耐震性を強化しておけば暮らしに安心感を持てます。特に、長期優良住宅の認定を受ければ、公民館や小学校といった災害時の避難場所と同等の耐震性を備えていることになり、より安心感が増すでしょう。
高性能住宅の注意すべきデメリット
快適な暮らしに役立つメリットがたくさんある高性能住宅ですが、注意すべきデメリットもあります。ただし、きちんと対策することでデメリットを軽減することが可能なため、しっかりチェックしておきましょう。
内部結露やシックハウス症候群のリスクが高まる
高断熱高気密の住宅では、壁や天井などと内側の断熱材との間に内部結露が発生する可能性があります。内部結露はカビの原因になるため注意が必要です。また、十分な換気ができていないと建材に使用される塗料や接着剤などの化学物質が室内に留まりやすいことから、シックハウス症候群のリスクが高まります。
現在、建築基準法では「24時間換気システム」などの設置が義務化されています。計画通りに換気量を確保することで、これらのデメリットを回避しましょう。
参考元:国土交通省「シックハウス対策のための規制導入改正建築基準法は平成15年7月1日に施行されました。」
建築・リフォームにかかる費用が高くなる
高性能住宅を建築する場合、断熱材や耐久性の高い資材など、高価な建築資材を導入することが考えられます。また、高い精度での設計・施工が必要なため、総じて建築費用が高くなりやすいといえるでしょう。
しかし、建築後のランニングコストなどを考えれば、性能にコストをかけることは無駄ではありません。建築費用を抑えたい場合には、補助金制度などを確認してみてください。
高性能住宅の建築・リフォームに活用できる補助金制度
注文住宅の性能を高めるためには、高額な費用が必要になることがあります。そこで注目したいのが補助金制度です。ここでは、国が実施している補助金事業についてご紹介します。
事業名 |
対象 |
補助金額 |
ZEH支援事業 |
新築住宅を購入・建築する個人ZEH・ZEH+住宅 |
ZEH住宅:550,000円/戸ZEH+住宅:1,000,000円/戸 |
次世代ZEH+実証事業 |
新築住宅を購入・建築する個人次世代ZEH+住宅 |
1,000,000円/戸 |
次世代HEMS 実証事業 |
新築住宅を建築する個人次世代ZEH+住宅 |
1,120,000円/戸 |
各補助金事業には要件があるため、注文住宅の建築にあたり活用できるかどうかそうか確認してみてください。
参考元:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「2023年の経済産業省と環境省のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金について」P4-5
高性能住宅の建築をお考えの方は「R+house」へ!
今回は、注文住宅の建築にあたり知っておきたい性能について、メリットやデメリットを踏まえた重要性について解説しました。コスト面に不安がある方は、補助金の利用についても検討してみてください。
R+houseネットワークの工務店では、高断熱・高気密・高耐震の住まいづくりにこだわっています。また、独自のルールによるコストパフォーマンスの高さも人気の理由です。「機能性とデザイン性を兼ね備えた住宅を手の届く価格で」とお考えの方は、ぜひR+houseネットワークの工務店までお声かけください。
>>高性能な注文住宅「R+house」について、詳しくはこちら!